介護施設で働く看護師に最も求められる能力の一つが、高いアセスメント能力です。病院とは異なり、介護施設は医師が24時間常駐しているわけではありません。日中のみ医師が診察に来る、オンコール体制で対応するといった現場が一般的です。そのため、利用者の体調に異変が生じた際には現場にいる看護師が初期対応を行い、緊急性の高さを正しく見極める必要があります。この判断が、利用者の命やその後の回復を大きく左右するのです。
高齢者は若年層に比べて、病気の症状が典型的ではないケースもあります。たとえば、肺炎を起こしていても熱が出なかったり、心筋梗塞でも胸の痛みの訴えがなく元気のなさや食欲不振として現れたりなどです。日常的に接している介護スタッフからいつもと様子が違うという報告を受けた際、看護師はバイタルサインの測定だけでなく、表情や皮膚の状態、意識レベルなどを総合的に観察しなければなりません。過去の既往歴や普段のベースラインと比較して、何が起きているのか推測するアセスメント能力が不可欠です。
万が一、意識消失や呼吸困難などの急変が起きた場合には、動揺せずにあらかじめ定められた救急対応の手順に従って行動します。主治医や提携病院への連絡、救急車の要請、家族への連絡などを迅速に進めましょう。日頃から救急カートの点検やシミュレーションを行い、万全の準備を整えておくことが大切です。プレッシャーは大きいですが、的確な判断で利用者を守れた瞬間の達成感は格別と言えます。